各国代理人から送付されましたサーキュラーから注目すべき事項を挙げてご説明します。
【ベトナム】ベトナム知的財産法、特許、意匠、商標に関する改正案を採択
最近公表された通達 第16/2016/TT-BKHCN号は、2018年1月15日に施行される知的財産法についての新しい規定に関する、通達 第01/2007/TT-BKHCN号を修正補完しました。今回の見直しは主に、ベトナム知的財産局(以下NOIPとする)による商標審査手続及び特許審査手続について、ベトナムの知的財産法と国際慣行との間のギャップを狭めるために、主要な管轄区域における登録要件と手続を調整するものです。
この新しい改正案は、ベトナムにおける知財実務に重要な影響を与えます。
重要な変更点のいくつかを下記に挙げますのでご参照ください。
【一般的な変更点】
1.拒絶理由通知への対応期限の延長
方式審査については、拒絶理由への応答期限が1ヶ月から2ヶ月に変更されました。これに伴い、実体審査における応答期限も、2ヶ月から3ヶ月に延長されました。
さらに、それぞれ1回ずつ、上記応答期限と同様の期間、延長可能となり、拒絶理由通知日からの有効期限が、それぞれ、方式審査では4ヶ月、実体審査では6ヶ月に延長されました。
2.審判・訴訟における補正/補足を受理しない
新たな規定において、審判・訴訟段階の請求書に関する補正や補足は受理されません。新しい事実・詳細な情報がある場合に限り、NOIPは請求人/上訴人の要請に基づいて請求内容を再検討することができます。
3.拒絶査定を克服するための代替アプローチ
本改正通達では、出願人は拒絶査定不服審判を請求する代わりに、審査結果に影響を及ぼす新たな詳細情報(審査でまだ考慮されていないもの)を提出することができ、NOIPはそれに基づいて拒絶査定の取り下げを検討します。
4.その他の細かい変更点
出願人とNOIPの双方に関し、本改正通達には以下のような細かい変更点があります。
– 権利所有者への存続期間満了/権利無効の請求の通知は、請求が受理された日から1ヶ月以内に送付されなければなりません。
– 出願を、取り下げ後に復活させることは不可能です。出願人には、明示的にその出願を取り下げるのではなく、あえて期限徒過により出願を失効させておく対応の検討をお勧めします。
– NOIPが、審査結果に対する異議申し立てに根拠があると判断した場合、NOIPは、異議申立人に対し、その旨を通知する義務を負います。
– すべての出願文書のフォントと文字サイズに関する規定:Times New Romanフォントで13ポイント以上とします。
– 遅れて提出する場合の理由に関する規定:「不可抗力事象」と「客観的な障害」の新しい概念を採用します。
【特許】
1.PCT出願がベトナム国内段階に入るための時期的制限
今回の改正のハイライトは、PCT出願がベトナムの国内段階に移行するための6ヶ月の猶予期間の解除です。これにより、本通達が効力を発すると、ベトナム国内段階に入るための期限は、以前のように遅れることなく、わずか31ヶ月で国内移行できます。
2.審査請求期限
新規定の下では、発明/実用新案の審査請求の追加期間の6ヶ月は、申請者が「不可抗力事象」または「客観的な障害」に基づいて請求が遅れたという事実に関する証拠を提出できる場合にのみ適用されます。
したがって出願人は、上記追加期間6ヶ月は考慮せず、42ヶ月または36ヶ月を、安全性を考慮した審査請求のための最終期限と考えるべきです。
3.その他の細かい変更点
明細書に関しては、改正通達では、国際的な実務にならい、明細書とクレームの両方をカバーするために “description”という文言が “specification”に修正されました。
年金の支払いの場合、代理人を通じて年金の支払いが行われる場合は、委任状が必要です。また、その旨はIP公報にも掲載されます。
【意匠】
1.無形製品のグラフィックユーザーインターフェイス(GUI)は除外される
本改正通達では、「製品とは、工業的または手工芸的方法で製造された、明確な構造と機能を持ち、独立して流通する、物体、装置、装備、手段、組み立てのための部品又はこれらの製品の組み合わせとして理解される」とし、登録可能な製品の範囲が狭められています。
この定義に照らして考えると、GUIのような無形の製品は、独立して流通することができないため、除外されますが、そのような無形製品を搭載する製品(ハードウェア)については登録が必要です。
2.先願主義
この問題に関する新しい規定は次のとおりです。
– 同じ製品の同じデザインについては、1つの権利のみが付与されます。
– 統合された製品の一部のデザインと、その部分と同じデザインを含む別の統合製品のデザインでは、より先の優先権日付(または優先権がない場合はより先の出願日)を有する出願に対して権利が付与されます。
– 2つの出願の優先日が同じ場合の規定はありません。
3.その他の細かい変更点
修正された通達では、明細書と図面/写真のセットについての重要性がより増しているため、出願時にはこれらを慎重に作成する必要があります。
さらに、以前の通達では、権利付与後の図面/写真に対する補正を許していましたが、新しい通達では、形態を削除することのみが可能です。
本改正通達では、権利書の最終ページに更新手続を記録するための意匠特許の修正請求を、更新時にこれが行われなかった場合について認めます。したがって、必要がない場合には、更新時にこれを記録する必要はありません。
【商標】
1.周知商標の認定
新しい通達の下では、紛争解決の執行又は商標に対する異議申立や審査を通してのみ、その商標が周知商標と同一又は類似であると認定されうることとなります。
2.権利不要求に異議を申し立てる権利
新しい規則は、商標の構成要素についてNOIPが設定した権利不要求の認定に異議を申し立てる権利を明示的に規定しています。 かかる権利不要求の認定に同意しない場合、出願人には通知日から3ヶ月以内に異議を申し立てる権利があります。
3.国際出願に関する拒絶理由への対応
国際出願が仮にNOIPによって拒絶された場合、出願人は拒絶された日から3ヶ月以内に、これに応答する権利を有します。 この応答が正当と判断されなかった場合、NOIPは拒絶の決定を出し、出願人は通常の手続きの下で90日以内に審判請求することができます。
(資料提供: PATON CO., LTD)