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商標解説 | 

台湾商標法についての解説

台湾

1. 適用法令

商標法 2011年6月29日公布
2012年7月1日施行
所管官庁 特許庁(経済部智慧財産局)
  
(1) 登録主義、先願主義を採用
(2) 商標
文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合
着色、音声、動態、ホログラム又はこれらを結合したもの、その他視覚的に認識できるもの、音、匂い等視覚的に認識できないもののうち、文字、図形、記号又はその他の視覚的な方法で写実的に表現したもの→ 使用による後天的な識別性を取得した後に、商標登録される(2012年 非伝統商標審査基準)
証明商標、団体標章の登録が可能
(3) 商品
国際分類に関するニ-ス協定に未加盟ですが、ニ-ス10版を採用
商品・役務の類否は、「商品及び役務近似検索参考資料」を判断基準とする
特定の商品の小売と卸売業は、第35類の役務に含まれる(いわゆる小売役務商標)
指定商品/役務の数により印紙代を徴収する(2011年2月1日以降)

 

2. 出願手続

(1) 必要書類

① 願書 出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
法人にあっては代表者の氏名(中文・英訳)
商標見本 5枚 5cm×5cm ~ 8cm×8cm
商品区分及び商品・役務の表示(原則としてクラスヘディング又は包括表示の記載は認められず、具体的な商品名を表示する
② 委任状(公証、認証不要)

(2) 必要情報

① 一出願多区分
② 共同出願も可能
③ 優先権主張
最初の出願の翌日から6ヶ月以内に主張が可能
出願人、商標見本及び指定商品が先出願と一致しなければならない。
優先権証明書 主務官庁が発行した原文又は英語訳、中国語以外の場合には、中国語訳が必要、出願後3ヶ月以内に書類の追完可能
④ オンラインによる電子出願が可能(2008年5月9日に公布実施)
⑤ 出願の使用言語は、中国語のみ

 

3. 審査

(1) 審査内容

① 方式審査 出願書類の完備、指定商品・役務の審査
② 実体審査 絶対的拒絶理由(識別力の有無)及び相対的拒絶理由(先行商標との類似性等の不登録事由の有無
③ 出願から登録までの所要期間: 10ヶ月から1年
④ 出願件数と登録件数のリスト(別表をご参照下さい)

(2) 拒絶理由通知

① 応答期限は通常1ヶ月(台湾に住所又は営業所を有しないものは2ヶ月)、1回(1ヶ月、台湾に住所又は営業所を有しないものは2ヶ月)の延長が可能である
② コンセント制度
商標法第30条第1項第10号の但書きによる同意書制度を採用
審査官には併存登録の妥当性について裁量権を付与
同意書には商標権者の名称、商標及び指定商品等を記載すべき他、「先登録商標権者は、将来台湾において同一・類似の商標をもって同一・類似の商品役務につき出願する際にも後願商標権者の同意を受ける必要があることを知悉したうえで、同意書を発行することになる」という文言を明記しなければならない。
③ 権利不要求(ディスクレ-マ-)
商標見本に識別性を備えてないない部分が含まれ、且つ商標権の範囲に疑義が生じる虞がある場合、出願人は該当部分につき専用しないと声明しなければならない(商標法第29条第3項)。
官庁の職権により商標見本の説明文字、図形部分について権利不要求を行うことができる。

 

4. 登録と更新

(1) 登録査定書が送達された日から2ヶ月以内に、登録料を納付しなければならない。
(2) 登録料は一括納付(分納制度は廃止)
(3) 存続期間は登録公告の日から10年。10年毎に更新可能
(4) 更新時は実体審査を行わない。委任状(公証・認証不要)のみ提出
(5) 更新手続期間は、登録満了日の前後6ヶ月。期限日以降の更新は、印紙代が倍額

5. 使用義務

商標登録後正当な理由なく3年間の継続的な不使用である場合、何人(利害関係不要)も不使用取消審判を請求することができる。
3年以上の不使用事実を立証する証拠資料(興信所調査)の提出が要求される。事前の興信所調査を行う。
不使用取消審判の請求に対しては、商標権者は、台湾における使用事実を示す書類を提出する。

 

6. 登録異議申立

商標登録の公告日から3ヶ月以内に、何人も登録異議申立ができる(付与後異議制度)。
登録異議申立の処分が下された後は、何人も、同一の事実について、同一の証拠及び同一の理由をもって無効審判を請求することができない。

 

7. 無効審判

① 5年の除斥期間
② 登録異議申立の処分が下された後は、何人も、同一の事実について、同一の証拠及び同一の理由をもって無効審判を請求することができない。
③ 無効審判の請求の引用商標(登録日から3年以上経過している場合)についての使用証拠提出義務がある。

 

8. 使用許諾

① 専用使用権及び非専用(通常)使用権に分けられる
② 使用権についての設定登録は対抗要件
③ 再使用許諾(サブライセンス)の設定登録制度あり

 

9. 著名商標の保護

商標法代30条第1項第11号
「他人の著名な商標又は標章と同一又は類似し、関連する公衆に混同誤認を生じさせるおそれがあり、又は著名な商標又は標章の識別性又は信用を損害させるおそれがあるものは登録を受けることができない。但し、当該商標又は標章の所有者の同意を得て出願するときはこの限りではない」

 

10. 未登録の外国商標の保護

商標法第30条第1項第12号
「同一又は類似の商品又は役務について、他人の先使用に係る商標と同一又は類似であり、出願人が当該他人との間に契約、地縁、業務上の取引又はその他の関係を有するために、他人の商標の存在を知っており、意図的に模倣して登録出願する場合は、登録を受けることができない。
但し、その同意を得て出願する場合は、この限りではない」
未登録の外国商標でも台湾又は世界各国における使用事実をもって第三者の無断登録に対して登録異議申立又は無効審判請求を提起することができ、当該登録を取消すことができる。

 

以上